・建物の「色彩」に関して、大切なことはやはり「周辺環境・周辺自然との調和」です。「調和」という言葉から・・わりと多くの方は、「周囲と同じ色彩系統でそろえること」と思ってしまうこともあるようですが、実際はそういうわけではありません。
逆に「同じ色・・一色」だけでは「調和」が取れているとはいえない状況も多々あるのです。
「色彩」が難しい要素の1つといわれるのが、人による「好き嫌い」が多数存在していることが大きな要因となっています。ですから・・少々言葉として誤解を受けるかもしれませんが、けして「周囲に暮らしている人々に好かれる色を択ぶ」ということが、建物の色彩という要素に関連して「吉相」となるというわけではありません。
「色彩」に関して「調和」を考える上では、【3つの色】の組み合わせとバランスを大切にしておくのがポイントです。このことについては別のページで説明していますのでそちらも参照いただければと思います。
ここでは「建物の色彩」に関して、日本において「調和」を創造することを念頭においた場合のポイントということで、「彩度の高い色彩は避ける」という要素があげられます。
これは、日本の自然環境・周辺環境の中には、「彩度の高い色彩」でしめられている割合が少ないからという意味でもあります。
けして、「彩度」が高い色が「凶相となるという意味ではありませんので誤解のないように。
例えば地中海の海沿いの町などでは、建物が彩度の高い「青・白」などで彩られている町並みをみたことがあるのではないでしょうか。これは、この地域においてとても「調和」のとれた美しい色彩なんだと思います。
というのも、この地域では自然環境の中に存在する色彩としても、「空の青さ」「海の青さ」「砂浜の白さ」などが・・とにかく彩度の高い色彩で彩られているのです。そう・・もともと自然環境の中に彩度の高い色彩が存在しているのです。
ゆえに、この場合に「自然との調和」を考慮しようとしたときに、色鮮やかな「青色」などが適していたということなのでしょうね。
日本の場合には「四季」があります。
昔から、日本伝統的な色合いとしては彩度の低い「日本の伝統色」というものがあるように、日本の自然風景の中には、移り変わりを有した、「微妙で曖昧な美しい色彩」が中心となっていたのではないかと思います。
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